105-A 大 所 山





【日 時】 2009 年5 月9日 【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子、ハチキンさん、Rさん
【コースタイム】登山口08:50…花と遊ぶ09:10〜10:05…スダレ滝10:50…大岩11:05…稜線に出る11:50…山頂12:10〜12:40(昼食)…琵琶滝分岐14:15…琵琶滝14:35〜14:45…分岐14:55…登山口15:05


5年前の2月にJAC例会で登ったことがあるが、このとき不参加の和子が「XXXXXが咲いている」とハチキンさんから誘われたので一緒に行く。杉の湯で合流したハチキンさんの車に乗せてもらい、下多古谷に沿って林道を上り大きな広場のある登山口に着いた。
ヘリの荷揚げに使うため車の進入禁止とあるので、手前の道幅が広くなったところで車を降りる。トタン屋根の小屋の右手に林道があるが、ここにも登山者は通らないようという表示があり左の細い道に入る。山腹を捲くように登り、折り返して先程の林道に合流。お陰で、前回のように伐採されて倒れた大木を何本も越えていく煩わしさを味わわなくてすんだ。杉林の中を 15 分ほど登ると細い谷にでて、朽ちた木の橋の横を通る。5年前にはまだ危なげながら橋の役割をしていた所である。今は手摺り代わりに使って登った。(中略)
花との対話に夢中で思わず 45 分を過ごして、再び登り続ける。涸れ谷を過ぎてしばらくで、緑に苔むした岩を玉すだれのように流れ落ちる二段の小滝にでる。ここからは急斜面を何度もジグザグを繰り返す。大きな岩があるところで大きく右に折れ、間伐されて次第に明るくなる植林帯を登る。頭上に稜線が近づき、右側が大きく開けると、咲き残ったミツバツツジの華やかな色と大きな岩が見える。岩の上から今日初めての展望を楽しんだ。正面遠くに(東)に白髭岳の鋭鋒、近くには勝負塚山が見える。目指す大所山の山頂は右に、疎らな木の梢が頭髪を逆立てたようだ。
岩から僅かの急登で稜線に出る。「間違えるな」「 15 歩先右側→」「登山口」という標識がある。下山の時に尾根を直進しないようにとの心遣いのようで微笑ましい。ブナの大木が立ち並び、足もとに咲くセンブリやエンレイソウなどの可憐な花たちに、女性たちは再び撮影モード。前に張られていた木材運搬用のワイヤは撤去され、歩きやすくなった緩やかな尾根道をのんびりと山頂を目指す。
小さなコブを越えるとブナの木に囲まれた 1346m 、三等三角点があった。ここにも大所山と百合ヶ岳の標識が並んでいる。それぞれ好きな山名にこだわりがあるのだろうか。無風快晴の木陰に腰を下ろし、 4 人で貸し切りの山頂でゆっくりとランチタイムを過ごした。
下山は南西側の尾根に入る。ブナの大木の間を快適に下って左に折れる。思ったより山頂が遠くなっている。ふかふかの絨毯のようなマツやスギの落ち葉に靴を埋まらせながら行くと、深いシャクナゲ林になる。さすがに殆どが固い蕾から深紅の色を覗かせている程度だが、日当たりの良いところでほんの少し開花した木もあった。シャクナゲが疎らになると下り一番の難所で、大岩の横に危なっかしい木の梯子がつけられている。次の難所も長い岩場の下りでマダラロープが張ってあった。植林帯に入ると膝が悲鳴を上げるような急坂の連続で、登山口から琵琶滝に続く水平道に出たときは、正直ほっとした。
ザックを置いて滝を見に行く。下多古谷の流れを見下ろしながら、左岸沿いにゆるい傾斜で遡っていく。清流に竿をたれる釣り人の姿があった。ナメ滝や小さい滝をいくつも見ながら流れに下り、岩を拾って辿る道になる。 10 分ほどで吊り橋を渡る。吊り橋の上からも小さな滝が見えるが、目指す琵琶滝は木の葉が茂っていてここからは見えない。対岸に渡ると道は更に険しくなり、マダラロープがついた小さい岩場を登ったりへつったりしながら登っていく。滝見台に建てられた四阿で始めて滝が全貌を表す。落差50m。どうどうと音を立てて天空からなだれ落ちるような豪快な滝である。二段目からの水は、滝壺でなく岩にうがたれた穴から出ているそうである。
 冷たい風が吹き寄せてきて、汗ばんだ身体がすっと冷やされていく。何時までも眺めていたい素晴らしい光景だった。
  


105-B 大 所 山

【登 山 日】2004年2月14 日(土)晴   【メンバー】JAC関西支部 8名(L.森沢義信)
【コースタイム】駐車場所10:25…小さな滝11:25…稜線に出る12:15〜12:20…大所山12:45〜13:30…駐車場所15:20
4月上旬並みと暖かい朝だが、午後からは下り坂で春一番が吹くという予報である。橿原神宮前駅に集結した3台の車で169号線を南に走る。下多古から谷沿いに林道を約5キロ登ったところの広場に車を置く。林道途中の日陰には雪が残っていたが、ここでは暖かい陽光が降り注いでいる。スパッツを付けるなど身ごしらえをして、「大所山」と「百合ヶ岳」の二つの道標が付けられている木のところからスギ林の中に入る。皮を剥がれて運び出す準備を終えた太いスギの木が、何本も横倒しになっている。踏み跡の上に当たる部分だけ皮を残して、跨ぎやすいように配慮された木もあるが、何しろ幹周りが大きいので足の短さを思い知らされる。
濡れ落ち葉と湿った土で滑りやすい急坂を直登して、細い尾根道に出る。折り返すようにして尾根の左側を捲いていくと、苔むした大きな石灰岩があった。涸れた谷をハシゴで渡り、急坂を登る頃から疎らな雪が出てきた。ここから先頭を歩かせて貰う。雪は次第に増えてきて、はっきり残る何日か前のトレースを踏んでいく。
何度かのジグザグで谷を渡り返し、二段になった小さな滝の前に出る。滝は殆ど凍結して、僅かに水が滴り落ちている。滝の前を通り、左へ進んで杉林の中に入ると更に雪が深くなってくる。踏み固めるようにしながらジグザグを繰り返して、次第に高度を上げていく。ラッセルを代わって顔を上げると、真っ青な空にスギの梢が突き刺さるようだ。
明るい疎林から、ぱっと展望が開ける伐採跡にでる。正面に白鬚岳がくっきりと鮮やかな三角錐を見せる。左には池木屋岳、右には日出ヶ岳。更に右には勝負塚山が近い。すぐ上の稜線に登ると、吹きすぎる風が冷たく感じた。稜線沿いに木材運搬用のワイヤーが張ってある。しばらくの間、その横を小枝に頬を叩かれながら進む。ときどき、ずぼっと足元が沈む。雪は50p以上ありそうだ。小さなピークを越えて真っ白な雪の稜線を行くと、美しいブナ林の中にぽっかり開けたような頂上に着いた。
木の枝越しではあるが、南には大普賢岳から山上ヶ岳、弥山、稲村ヶ岳へと続く稜線が指呼の間に、また反対側には四寸岩山の穏やかな山容が望まれる。空は良く晴れているが風が冷たいので、記念写真を撮って反対側の西側に少し下る。幅広い尾根上の台地で、そこだけ土が顔を出している何本かの木の廻りに思い思いに腰を下ろしてランチタイム。食後にはバレンタインデーのチョコレートや果物など、いろいろなデザートを頂く
下山は南西に延びる稜線を下る。この山に登る殆どの人は元のコースを引き返すようで、こちら側にはトレースもなく、ふかふかの白い雪を踏んでいく。リーダーの森沢さんも、このコースを下るのは雪の時期では過去に二度だけだそうだ。シャクナゲ林に入り、尾根が次第に痩せてくる。要所では小さな赤いビニールテープが木の枝に巻き付けてある。崖上の大岩に木の根が絡んでいる所や、雪がついたかなり長い急傾斜の岩場を下り、植林帯に入る。湿雪でアイゼンは付けられず、ときどき木の根で滑ったり、木の根の間に落ち込んだりしながら下る。日陰が多く、雪は登るときよりずっと下まである。その上にキツネらしい足跡が残り、ぬた場から泥だらけで付けたイノシシの足跡も続いていた。
雪がなくなると植林帯の急坂を木の幹を頼りに下り、琵琶滝への登山道に降りたつ。川沿いに10分ほど歩いて駐車場所に帰った。予想以上に厳しい山だったが、あの急坂を上下するのは雪があった方が楽だったのかも知れない。あまり登られていない不遇の山だが、大峰の前衛にふさわしい深山の趣があった。好天に恵まれ、いい仲間といい山に登れた幸せに感謝して、車で山を下る。空にはいつの間にか黒い雲が凄い速さで群れ飛んでいて、いよいよ雨が近いことを思わせた。

 「奈良100遊山プラス10」    ペンギン夫婦お山歩日記
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