104 勝負塚山



【日 時】 2008 年7 月 10日(木) 【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】伊坪谷出合11:00…掛小屋跡11:40〜11:45…五合目12:45…尾根に出る13:00〜13:10…七合目13:30…勝負塚山14:30〜14:40…五合目15:500〜15:55…小屋跡16:30〜16:35…伊坪谷出合17:15
以前から念願の山に、梅雨の晴れ間を狙って登った。国道 169 号線を離れ、上多古川沿いに林道を走って、伊坪谷出合に架かる赤い橋の近くに駐車する。急に思い立っての山行なので、すでに 11 時前。「熊やマムシが白昼出没する」など、クマやヘビの絵入りもある立て看板が何枚かあり、地元では登山者は歓迎されていないようである。橋を渡って短い石段を登り、数分いくと砂防堰堤と村の水道施設がある。その前の立ち木に白い布の目印があり、そこから斜面の踏み跡に入る。崩れやすい荒れた道は岩で行く手を遮られて左へ捲く形になり、左手の大きくなぎ落ちたところから続いている山腹の道にでる。念のため、この帰りの下降点に目印の枯れ木を置いて行く。
ほぼ水平の山腹道を 10 分ほど歩くと、細いが高い滝を横切る場所に出た。橋が落ち、丸木一本だけが辛うじて残っている。岩が濡れて危なっかしいので、赤テープに導かれて高捲きする。しばらくいくと幅は広いが涸れている沢、もう一つジメジメした沢を渡る。苔むした大岩の横を通ると谷音が近くなり、トタン板の散らばる所にでる。山仕事の小屋があった跡のようで水平道は先に延びているが、登山道を示す標識は左へ植林帯を登る道を指している。ここまでガイドブックでは 25 分となっているのに、 40分かかっている。
しばらくは、スギ植林の中のしっかりしたジグザグの登りになる。少しくらいきつくても高度を稼げるので、二人とも好きな道である。喜んだのも束の間、すぐに崩落したガレ場に突きあたる。登山道は途切れ、踏み跡が入り乱れている。ややもすると足元が崩れ落ちる急斜面を登り、再び道にでる。しばらくで、小さい岩場を斜めに登るように横断する。ハシゴの残骸があり、細い虎ロープがついているが頼りになりそうもないので慎重に越す。小屋跡から1時間歩いたところで「五合目 840m 」の標識に出会う。「まだ〜五合目…嫌になるなあ」と先が思いやられる。
さらに1時間頑張って、ようやく左手に白髭岳などが見える尾根に出た。楽しみにしていた風は全くなく、蒸し暑くて汗が滴り落ちる。倒木に腰かけて、小腹を満たしながら少し休む。尾根上の道は 倒木を跨いだり、アセビのブッシュを漕いだりしながら続く。「七合目 1000m 」の標識があるところは少し開けて、行く手の山頂部が近づいたものの、まだ高く見える。いったん傾斜の緩んだ道は雑木林に入り、再び急登が続く。苔むした大岩の横を通り抜けると、シャクナゲの大木が並んでいる。花の時期にはさぞかし見事だろうと思う。山頂かと思ったピークに登りつくと、まだ先にピークが見える。
最後のシャクナゲ林をかき分けるように急登して、14時30分、やっと頂上にたどり着く。休憩を含めて2時間半の予定が、なんと3時間半もかかっている。暗い林に囲まれた山頂は僅かに南側が開けているが、靄がかかっているようで山上ヶ岳もよく見えない。小さなハエがぶんぶん飛び回って、食事をする気にもならない。全身汗まみれで記念写真を撮り、早々に元の道を下山する。  
先ほどのピークに帰って二度目の軽食をした後は、忠実にテープや布標識を辿りながら下る。「よくこんな所を登ってきた」と思うような悪い箇所もあったが、さすがに楽で早い。   それでも掛小屋跡までは1時間ちょっとかかって、上で換えたタオルが再び汗でぐっしょり濡れた。天候のせいか、薄暗く感じてきたので水平道を急ぐ。最初の苔蒸した大岩のところで少し道を探し、沢はなんなく高捲きして進んだが、下降点に置いた目印はなぜか無くなっていた。朝から誰ひとり出会わなかったのに不思議なことだ。ナギの形を覚えていたので、木の枝のテープを見つけて無事に水道施設に下る。橋の下の広い河原で汗を拭い、車に帰った。
 心配した雨にも遭わず、クマにもマムシにもヒルにも出会わずに済んだが、久しぶりのシンドイ山だった。それだけに登り終えたあとの達成感は大きく、二人とも大満足で帰宅した。
  

 「奈良100遊山プラス10」    ペンギン夫婦お山歩日記
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