73 生 駒 山(642m)





73 生 駒 山(642m)<生駒・金剛・和泉山脈>

(いこまやま) 大阪平野と奈良盆地を区切って南北に走る生駒金剛山地の北半、生駒山地の主峰であり、古くから河内・大和の人々に朝夕、親しまれてきた。戦中の小学5年生の時から70年代初めまでこの山系の中腹に住んでいた私にとっては、実に思い出深い山である。近畿中央部の低地に突出しているので、遠方からも格好の目印となり、また古くから軍事・交通の要衝として、暗峠、鳴川峠、十三峠などの峠越しに多くの人や物資が運ばれてきた。今は近鉄電車が生駒トンネルを走り抜け、阪奈道路、第二阪奈道路が大阪・奈良間の動脈の役割を果たしている。
  山頂付近はTVやマイクロウエーブの中継アンテナが立ち並び、また宇宙科学館や遊園地もあるリクレーションの場となっている。 三角点は遊園地のSL軌道内にあるが、登山者は断って無料で入場できる。
  山腹や山麓には伊古麻都比古神社(生駒大宮)、鳴川千光寺(元山上)、宝山寺など有名な古社寺や旧跡が多い。とくに宝山寺は「生駒の聖天さん」として 関西商人を中心に多くの参拝客で賑う。生駒は宝山寺の門前町として、日本最初のケーブル開通と相まって栄えたといえる。


 登山路として大阪側からは近鉄枚岡駅より大原山、暗峠コース(2時間)、石切駅から辻子谷コース(1時間30分)、額田駅から額田谷コース(1時間20 分)、同じく額田から枚岡公園を経て登るコース(1時間20分)などがある。奈良側では、近鉄南生駒駅より車道を暗峠へ登り、スカイライン沿いに北へ(1時間30分半)。元山上駅から千光寺、鳴川峠、暗峠を経て3時間弱。生駒駅からは宝山寺への参道を行き、寺からケーブル横の急坂を登る(約1時間40分)などがある。
 中学校の遠足で枚岡から登って以来、何度もいろんな道を歩いたが、まず2008年3月16日、奈良側から大原山を経て生駒越えをしたときの記録を抜粋する。

延喜式の古社・生駒山口神社(↖)に参拝、山道になり鳴川の集落に入る。ゆるぎ地蔵(↑)を経て不動滝で行場道に入り、沢沿いにしばらく登り元山上・千光寺(←)へ。
 沢沿いの道から、ごろごろの歩き難い急な道、さらに緩く登って信貴生駒スカイラインの下を潜り鳴川峠に着く。首切り地蔵に手を合わせ、縦走路を北に向かう。大原山は20分ほど歩いた緩やかな高みにある。新しい三角点を探して、ドライブウェイ駐車場の方へ少し下る。三角点広場と「大原山・522m」の標識があったが、国土地理院の地図では514.2m四等三角点のはずだ。少し不審に思う
 
縦走路に引き返し暗峠に寄り道。「らくらく登山道」を下り、木の階段を上って神津嶽の神前に詣でる。少し下ったコンクリートの覆屋のついた展望台からは、東大阪から大阪に続く市街地の展望が開ける。 梅見の客でにぎわう枚岡梅林に下り、「元春日社」の枚岡神社に詣でて帰る。元山上に元春日。こんなことからも、大阪と奈良は古代から縁が深かったことが知られる。約10キロ、疲れも感じぬ楽しいハイキングだった。
以下は南生駒駅から暗峠を経て山頂へ登り、宝山寺を経て生駒駅へ降りた想い出である(2000年3月22日)。 
  近鉄生駒線南生駒駅から、昔の暗峠越え大阪街道(大阪からは奈良街道と呼ぶ)、現在の国道308号線を登る。大和と難波を結ぶ最短ルートだったこの道は結構きつい登りが続く。萩原町、藤尾町と家並みがほとんど途切れることなく続く。石仏寺の前を通り、「暗峠2K」の標識を過ぎると竹藪や段々畑が現れて街道らしくなり、側面に「文永七年…」の文字をもつ阿弥陀如来石像を見る。と思うと、広い幅員の2車線道路となり、右へは宝山寺の分岐である。再び道が細くなると、右手が大きく開け、段々畑がずっと上まで延びている。次第に勾配が強まり信貴生駒スカイラインの下を潜ると、すぐ上が大阪と奈良の府県境、石畳道の
暗峠である。
縦走路に入るとやっと土の道を歩くことになる。笹原の中の急坂でスカイラインに出た所が展望台だった。西側には大阪市街の向こうに六甲山が霞んでいる。東側は矢田丘陵の上に大和国原の山々が顔を出し、南には信貴、二上、葛城、金剛がほぼ一直線に並んでいる。スカイラインを渡って再び急な山道を登ると、ドーム屋根の旧天文館の前に出た。ゆるく下って「摂河泉展望コース」の道を分け、山上遊園地の南ゲートを入る。左右に林立する各放送局の電波塔の間を歩く。一等三角点は「大阪←山頂→奈良」の駅名表示板から少し離れた所にあった。
ケーブル線の左横を下る道は古い石畳で、所々苔むした岩などあり静かな所だ。霞ヶ丘、梅屋敷と駅を数えて宝山寺。「生駒の聖天さん」として浪花商人の信仰が厚いところで、境内には今日も参拝客が絶えない。お参りを済ませて、表参道の石段を下る。鳥居の外に出るとずっと下まで石段が続き、旅館や料飲店並ぶ。旅館街が住宅街、そして商店街に変わると目の前が近鉄生駒駅である。駅から寺までほぼ一直線で、これほど分かり易い道も少ないだろう。

私の関西百山
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