62 牛 廻 山(1,207m)





(うしまわしやま)奈良県吉野郡十津川村永井から西川沿いに東へ、国道425号線が和歌山県田辺市の竜神温泉に通じている。この「十津川往来」が両県境を越すところを「牛廻越え」という。また十津川村平谷からは上湯川に沿って龍神村丹生ノ庄に抜ける道がある。この道が両県境を越える辺りは「引牛越え」と呼ばれる。いずれも、両村の間で成牛、仔牛などの交易が行われた名残りという。牛だけでなく、紀州と和州物資交流の道、高野山と熊野を結ぶ信仰の道でもあった。牛廻山はこの二つの峠の間にある。    

 私たちが登ったのは丑年で、「干支の山」にちなんで登った。十津川から425号線を西に25キロ、十津川村最奥の迫西川の集落を過ぎて県境が近くなる辺りが「牛廻越え」、峠の地蔵が立つところが蟻ノ越である。大峰南部から熊野に続く山々が紫に霞んでいる。急勾配の林道を南に歩く。牛廻山はこの尾根とほぼ直角に交わる別の尾根(蟻ノ越からさらに北へ続く県境尾根)との交点のすぐ西の隆起である。尾根上の古い登山道に登り、山腹を捲くと1177mピーク。ここが二つの尾根の交差点で登山道は右(西)に直角に折れる。のんびり尾根道を歩き、ゆるく下ったコルがヒヨキノタワで小さな石の導き地蔵さんが立っている。しばらく先で左に小径を辿ると、あっけなく展望のない頂上に着いた。
蟻ノ越<760m>10:45 …ヒヨキノタワ<1145M>11:10 …牛廻山<1206.8m>11:25
ここから竜神へは踏み跡に近い道になる。イバラのからむ植林帯を抜け大峠山を越す。密集した丈の高いヤブを漕いでいくとミノ又山である。南斜面の倒木帯を過ぎるとなだらかな大久保山。ここから林道と登山道が何度か複雑に交差する。赤テープに助けられながら植林帯の急坂を下り、小又川に架かる橋を見たときは、間違いなく目的地に着けたと正直ほっとした。
牛廻山 12:30 …大クボ山<905m>14:05〜14:15 …小又川 15:30

私の関西百山
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