56 稲村ヶ岳(1,726m)





(いなむらがたけ)山上ヶ岳から西に延びる支脈上にある。古くから女人禁制ではなかったが、大峰山(山上ヶ岳)との峰続きのため女性の登山は忌まれていた。「女人大峰」として正式に禁制が解かれたのは戦後のことである。かつて「稲村嶽」と呼ばれたのは現在の大日岳で、1726m最高峰とはキレットで隔てられている。   

洞川から法力峠を経て登る現在の登山道は、昭和初年に赤井五代松が独力で開いた登りやすい道である。途中に彼の偉業をしのぶ名を残す「五代松鍾乳洞」がある。 1975年6月、この道を登り、娘さんの案内で五代松鍾乳洞を見学した後、緩い登りで稲村小屋に着いた。
山上辻で山上ヶ岳への道を分けると大日キレットで、周辺と稲村ヶ岳南斜面にかけてはシャクナゲが群生している。健脚者向けと書かれた周回路に入ると、美しいシャクナゲやイワカガミが咲き乱れ、特に雨に洗われた緑にシャクナゲの蕾の鮮やかな紅色が印象的だった。この日は稲村ヶ岳に登頂後、小屋に一泊。翌日、山上ヶ岳へ向かった。 1978年6月は10歳の娘と8歳の息子たちと洞川の蟷螂窟前にテントを張って、同じコースのピストン。シャクナゲ鑑賞路は鎖場や岩場のトラバースがあるのに、子供たちも頑張ったものだ。 
稲村ヶ岳山頂には展望台があり、目前の山上ヶ岳をはじめ大峰山脈北部を中心とした大展望が得られる。
 三等三角点は展望台の階段横にあった。下山後、ローソクを灯した子供の案内で蟷螂窟を見学した
。1982年6月にも同じコースを辿ったが、シャクナゲはやや盛りを過ぎていた。この時も小学6年生になった息子が一緒だった。
キレットから見る大日山は嶮しい山容だ。しかし取り付いてみると岩場には鉄の鎖やハシゴが随所にあって、30分ほどで往復できる。 
2003年に久しぶりに妻と登ったが、整備が進み、より登りやすくなっていた。最後は幅の広い木の階段道を登ると、大日如来の祠のある山頂である。
樹木に囲まれて展望がないが、祠の裏は西側が切れ落ちていて、イワカガミの群落の向こうに素晴らしい展望が開けていた。(写真はすべて2003年6月6日撮影)

私の関西百山
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