50 薊 岳(1406m)





50 薊 岳(1406m)<台高山脈>

(あざみたけ)高山脈北部の国見山から西に派生した尾根上にある双耳峰。山腹にアザミが密生しているのでこの名があるという。

1997年8月9日、大又林道終点(標高780m)から明神平を経て往復した。雨模様で傘を差したりすぼめたりしながら行動時間:5時間25分、休憩時間1時間5分の山行だった。山頂では気温20℃。無展望だった。明神平では10数頭の鹿の群れを見る。増水した沢を逃れた大きなガマガエルにも何度も出会ったが、人には最期まで逢わず、淋しいくらい静かな、しかし避暑気分で楽しい山行だった。
2004年11月も二人で、今度は麦谷林道の登山口から「木ノ実ヤ塚」という珍しい名の山を経由して登る。以下はその時の記録抜粋である。
 林道が稜線にでたところが登山口で、すでに標高は1100m。ヒノキ、スギ林のなだらかな道を行く。ときどき霧が流れ、その中に木々の梢が黒々と浮かぶ夢幻的な景色が展開する。短い登りとなだらかな道を何度か繰り返すと、林の中の二階岳頂上に出る。東に千石山から池木屋山に続く稜線が見えるが、これといった特徴のない頂きである。行く手に、木の枝越しに木ノ実ヤ塚が見える。林の中をゆるく下って枯葉を踏んで歩き、急な登りでピークを一つ越えると、しばらくなだらかな道を行く。
もう一度急坂の短い登りが終わると三等三角点と山名板のある木ノ実ヤ塚(←)だった。山頂部はブナに囲まれ展望はないが、広く明るい感じである。
 少し休んで薊岳に向かう。急な坂道を水溜まりのような池がある鞍部に降り、しばらく岩混じりの暗い痩せ尾根を登る。すぐに尾根が広くなると、ブナ、ヒメシャラ、オオイタヤメイゲツなどの林の中、気持ちの良い稜線歩きとなる。右手の梢越しに美しく紅葉した明神岳から笹ヶ峰、千石山と続く稜線が見える。真っ青な空を背にした薊岳の山頂部に雲が流れている。傾斜が強まり、岩角や木の根を掴んで登るようになると、間もなく雄岳山頂の東端にでた。
岩稜とシャクナゲの間に登山路が通る狭い山頂で岩の上に腰を下ろし、大展望も肴のランチタイム。雲が流れ去ると、すばらしい光景が展開した。四囲に遮るものがないので、まさに360度の展望台である。池木屋山は二本の木の枝に囲まれて、額縁に入った絵のようだ。北に伊勢辻山、その右の赤ゾレ山との間に高見山、その奥に曽爾の山々。伊勢辻山から国見山、水無山に続く懐かしい尾根道。明神岳からの尾根が池木屋山を過ぎて低くなると、その上に七ツ釜高から日出ヶ岳、経ヶ岳へと続く大台ヶ原が浮かんでいる。た。
経ヶ岳の下に見える二階岳がちょうど南になる。木ノ実ヤ塚の円頂に続く、二階岳から辿ってきた稜線が見える。南西には釈迦ヶ岳、仏生ヶ岳、特異な山容の大普賢岳から山上ヶ岳、大天井岳と大峰の山々が居並んでいる。さらに右、西から北西にかけては岩湧山、金剛山、葛城山、生駒山まで望むことができた。二人きりの山頂でゆっくりと展望を楽しんで元の道を帰った。好天の下、のんびりと紅葉と大展望を楽しめた山歩きだった。


その翌2005年7月、千日山歩渉会例会に15名で登った。この時は大又の笹野神社前から大鏡池、小屋ノ頭を経て雌岳、雄岳へ登り、
明神平(←)を経て林道終点から笹野神社近くの駐車地点に帰った。
 全く風がなく湿度も異常に高く、たまらなく暑い日だった。かなり体力を消耗したが、休憩を含めて7時間半、歩行距離約15q、標高差約1000mの行程は次月の槍ヶ岳行きに備えて格好のトレーニングとなった。


私の関西百山
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