49 檜 塚 (1402m)





(ひのきつか)台高山脈北部、明神岳より東に派生した尾根上にある。手前の奥峰(三重県側より見た名であろう)1420mは三重県最高峰になる。名前の由来は定かではないが、かって山頂周辺がヒノキの原生林であったためとも言われている。主な登山道は、奈良県側では前項の明神岳より約1時間20分。三重県側はマナコ谷登山口(木屋谷川林道)から所要時間約2時間15分で達する。どちらかの登山口から明神岳と桧塚の二山を周回することも可能である。以下は2001年11月初旬に、二人で三重県側から登ったときの記録より抜粋した。

高見トンネルを抜けて奥香肌峡近くから木屋谷川沿いの千秋林道に入る。しばらく地道の林道を走り植林小屋の横に駐車。ここから5分ほど歩いてマナコ谷左岸の登山口に着く。杉林の中の細く急なジグザグ道で、小さい滝を見下ろしながらグングン高度を稼ぐ。15分ほどで勾配が弱まると道幅も広くなり、大きく山腹を捲くように進む。折り返して沢音が遠ざかると、しばらくクヌギやコナラの落ち葉を踏む道を行き、再び植林の中で道が細くなる。何度か作業道を横切るが、その都度ビニールテープの標識が導いてくれる。
登山口から半時間で半壊した作業小屋を過ぎる。広い道を横切るところからやや急坂になり、更に二、三回、作業道と交わった後に広く緩やかな道に出会う。山腹を左に捲いていくと、切り株や倒木に薄緑色のコケが付着していて、ようやく台高らしい感じが漂う。やがて、別の林道脇に新しい作業小屋が立つ千秋峰にでる。
小屋の前で林道を右に折り返し、50mほど行って再び登山道に入る。少し登ると植林の境界になり、すぐ横まで林道が延びてきている。ここからはススキと丈の低い笹原で、頭上が大きく開けて気持ちまで明るくなる。右背後にせり上がってくる水無山、国見山の斜面が真っ白な霧氷に彩られている。
行く手左の檜塚、右の奥峰の斜面に並ぶ木立も白い花が咲いたようだ。小さな岩稜を過ぎて再び笹原を登ると、檜塚と檜塚奥峰の分岐に出た。先に奥峰に向かう。雲間から青空が覗き、暖かい陽光が降り注いできた。溶け始めた霧氷が、風に飛ばされて頬を叩く。
笹原の中を15分ほど登って奥峰の頂上に出る。まばらな灌木に囲まれて、木の間から白い霧氷の帽子をかぶった檜塚や、大峰の山々が望まれる。
引き返して檜塚に向かう。分岐を過ぎて緩く下ると、笹原の中に白い岩が散らばっている鞍部に出て、登り返して頂上に着く。まばらな灌木に覆われた小台地に、三等三角点と山名板が何枚かあった。すっかり青空になったが依然として風が強く、バラバラと音を立てて霧氷の破片が飛び落ちてきて、とても落ち着いていられない。分岐手前の岩のあるところへ降りて、ゆっくり展望を楽しむ。檜塚奥峰の左(南西)に勝負塚山から千石山に続く稜線、その上に大峰山脈がくっきりと見える。
明神平は割愛して、元の道を帰る。木梶山から梅尾に続く山の斜面は、赤や茶や黄の多彩な色で飾られている。その右手の曽爾の山々。
さらに右、檜塚の稜線から顔を出した迷岳を見納めて、檜林の中に入る。どんどん下って1時間ほどで登山口に帰る。今年初めての霧氷と大展望に加えて帰りには香肌湖で名残の紅葉と、自然の美しさを満喫できた一日だった。
【コースタイム】マナコ谷登山口9:15…植林小屋10:15…檜塚奥峰11:10〜11:15…檜塚11:25〜12:30…植林小屋13:05…登山口13:25(2001.11.7)

私の関西百山
inserted by FC2 system