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【みかみやま】守山付近から見ると美しい円錐形で近江富士と呼ばれるが、実際は雌雄のピークを持つ双耳峰である。頂上部には巨大な磐座があり、古くから西山麓にある御上神社の御神体山とされてきた。この神社の祭神はもと山頂に祀られていたものを、麓に勧請したものという。神社の説明板に「第七代孝霊天皇の御代に天照大神のお孫の天之御影の神がこのお山に御降臨になったので、爾来三上の住民はお山を神山として信仰し…毎年旧6月一八日の未明に山頂で神迎えのお祭りを続けている」と記されている。しかし、『近江名所図会』には「絶頂に八大竜王の祠あり。毎歳六月十八日竜王祭とて、遠近来たって登山す」とある。これは頂上にあった石の地蔵を竜王として、雨乞いの神・農耕の神として崇敬していたことを記している。また、御上神社社伝の天之御影の神は、別名を天之一目箇神といい、忌火の神・鍛冶の神でもある。『近江名所図会』には「俗に蜈蚣(むかで)山という。秀郷の由縁によりいいならわしける」とある。この俵藤太の蜈蚣退治は「瀬田の橋下に住む大蛇の願いで、三上山に棲む山を七巻半する大ムカデを退治した」という有名な話である。 |
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御上神社の駐車場に車を置き、国道8号線を渡ると表登山口で頂上まで3kmの標識がある。石の階段を登りイノシシ除けの柵を開けて山道に入る。すぐに神が岩上から釣りをしたという魚釣岩がある。山全体が水成岩で出来ているようだから、伝説にもいくぶんか事実は含まれていると思う。崩壊が進んだためか、2014年には以前に撮った写真にはない金網が掛けられていた。(写真は1988年撮影) | |
岩の左手から登り出し、壊れた茶屋跡を過ぎて登山口から10分ほどで妙見堂跡の広場に来る。 | |
ここから傾斜の増したジグザグの道を登り、「二越・20m」の標識を見る。右にそれると眼下に田園風景を見下ろす露岩にでる。引き返して少し登ると、また登山道を離れて右へ「割岩」を指す標識がある。少し登り気味に行くと鎖のかかった大岩があり、右手を捲くと横になって潜り抜けられる割れ目の上に来る。 | |
登山道は岩の上で合流すると更に急坂となり、部分的にスラブ状の手摺のある岩場となる。姥ヶ懐という。 | |
ひとしきり登ると頂上の大岩の上に出る。2001年には展望台と名が付き展望図も設けられていた。湖東平野と琵琶湖の向こうに湖南アルプス、比叡山、比良の山並みなど素晴らしい眺めである。電波塔の林立する生駒山も見えた。 | |
すぐ上に大きな石の鳥居が立ち奥宮の社殿がある。裏は小広場となっていてベンチが置いてある。 |
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2014年4月23日、下山の際、裏登山道の分岐を見過ごして、ゴロゴロの急坂を東山麓の近江富士花緑公園上部に下った。 広い道をいくと、今は通行禁止になっている湿原入口を過ぎて、緑の芝生が拡がり満開の八重桜が咲き誇る美しい公園に出た。バンガローやバーベキューの設備もあり、園内には遊歩道が設けられている。 |
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怪我の功名で思いがけず最後の花見をしたあと、山麓を南から西へ回り込むように歩いて御上神社前に出た。 春の田園風景の中、移り変わる近江富士の姿を見ながらのウォーキングだった。 【参考コースタイム】 山頂(45分)花緑公園(35分)御上神社 |
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私の関西百山 |