27 錫杖ヶ岳 (677m)




【しゃくじょうがたけ】伊勢と伊賀の国境となる布引山地北端の山。槍のように鋭い山容を修験者の錫杖に見立てた山名であろうか。古くは百丈岳とも呼ばれ、雨乞いの霊山であるとともに、東海道名所図会に「錫杖嶽峩々と聳えて風色斜めならず」と記されたように、東海道の名勝の一つでもあった。山頂部は花崗岩の露頭で、土地の人は「雀頭(じゃくとう)」と呼び、展望に優れている。
4度登っているが、うち錫杖湖へ二度降りた。一番印象に残る、最初に二人で登った思い出を記す。
1994年の初登り(1月8日)に前年秋、霊山からその尖鋒を見て登高欲をそそられていた錫杖ヶ岳に登る。
 名阪国道加太トンネルを過ぎて向井ICを降り舗装の林道に入る。登山口の標識から良く整備された道を、荒れた谷を左手に見ながら緩く登る。30分足らずで柚之木峠に着き、南側、経ヶ峰方面の展望が開ける。
ここで直角に左に折れ、明るい尾根道を登る。 桧と雑木の混じる狭い尾根道を小さく登り下りして、落葉樹の枝越しに頂上の見える所に来る。
 ここから胸をつくような急坂になり、木の根が階段のようになっている所を木の幹につかまって登る。足下に丈の低い熊笹が見られるようになると、岩場が混じるようになり、ニヵ所ほど連続して鎖が設けられている。


難なく登り切ると、大きな花崗岩が積み重なったような頂上についた。
先着のパーティに写真を撮って貰い、ゆっくりと四囲の展望を楽しむ。まさに360度の眺めで、北に油日・那須ヶ原山・高畑山・鈴鹿峠(上の写真)、その右に綿向・雨乞・鎌・野登など、南は経ヶ峰から青山高原、西に霊山と見飽きない。
眼下の錫杖湖の姿も美しい。やがて人声がして数人のパーティが上ってきたので、頂上を明け渡し、湖への降り口を少し下った屋根付きの立派な展望台で昼食にする。
 元の道の下りは本当に楽で、辺りの植物を見ながらあっという間に峠に着いた。再び暗い荒れた谷間に沿い、車を停めた林道に帰る。天候は申し分なく、短い所要時間で大展望が楽しめ、幸先の良い初登りとなった。
【参考コースタイム】駐車地点9:35…登山口9:45…柚之木峠10:10…頂上11:02−11:23…昼食後発11:58…登山口12:56

私の関西百山
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