16  御池岳 (1247m)



【おいけだけ】鈴鹿山脈の中央部、三重県いなべ市と滋賀県東近江市、多賀町にまたがる大きな山である。山頂部は東近江市永源寺町に所属して愛知川の源流となっている。山名からも想像されるように古来より、雨乞い儀礼が続けられてきた山である。鈴鹿山脈の最高点は、この山中(丸山)にある。コグルミ谷からの登路は距離が短い上に、春には花の多いことで知られている。  


 1993年5月、ふたりでコグルミ谷を登る。15分でタテ谷との出合。この辺りからイチリンソウ、ニリンソウの白い花が目を引く。はかにヤマネコノメ、フモトスミレ、ショウジョウバカマ、ミヤマカタバミ、ムラサキケマン、ヤマエンゴサク、エンレイソウやキクザキイチゲなど美しい花を見ながら登る。
 苔蒸した大きな岩の所から沢を離れ、左の山腹の登りになる。長命水の水場を過ぎてジグザグに登る頃から、カタクリの花が次第に多くなる。白瀬峠への分岐のある小尾根に登り着く頃には、道にまではみ出して踏みつけないかと心配になるほどの群落である。

  
尾根を越えて緩く下り、真ノ谷出合に着く。この辺りの緩斜面にはパイケイソウの緑の葉が一面に広がり、和やかな感じの所だ。直進すれば鈴北岳だが、ともあれ最高峰の丸山を目指す。
 ここからの上りが雪解けのぬかるみで結構、時間をくった。登りきると奥の平との分岐で、右へ僅かの登りで丸山だった。
丸山からボタンブチへの道は、もの凄いスズダケの密生で、それを漕いで往復するのにかなり時間がかかった。
 全身がすっぽり笹に埋まり、必死で掻き分けて道を捜しながら進む難行軍。おまけに深く抉られた道に水が溜り、その上を笹が覆っているので腰辺りまでどろどろになる。腕がだるくなり悲鳴を挙げたくなる頃、やっとドリーネのあるボタンブチに飛び出した。
この薮漕ぎで時間を喰い、予定の給北岳はあきらめざるを得なくなる。長命水で喉を潤し他は、どんどん駆け降りて駐車場所に帰った。
 鈴北岳には翌年5月1日に登頂した。この時もコグルミ谷は花で飾られ、稜線に出るとカタクリの大群落が迎えてくれた。

<コースタイム>
登山口9:45…10:05タテ谷分岐…10:25長命水…10:55白瀬峠への分岐…11:25真ノ谷分岐・‥12:00丸山頂上…12:30ボタンプチ13:15…13:45真ノ谷分岐…14:30長命水14:40…15:00登山口
(1993.05.04)

私の関西百山
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