05 能郷白山(1617m)




【のうごうはくさん】山名は白山信仰に基づくが、加賀の白山と区別してこう呼ぶ。山頂に熊野白山権現の奥社があり、養老元年(717)泰澄開基とされている。一等三角点があるピークは奥美濃の最高峰で素晴らしい展望が得られる。山麓の本巣市根尾能郷には古式の能が伝えられ、国の重要文化財に指定されている。


冠山に登った後、大野市に下り、銀杏峰登山口にある宝慶寺いこいの村 「大野森林振興センター」 に泊る。立派な施設を貸し切りで、運び込んだ食材で豪華な夕食を作り、広い部屋で寝た。夜中、二度激しい雨音がしたが、朝になると昨日にも増して素晴らしい青空が拡がっている。
急いで朝食を済ませて50キロ先の温見峠に移動する。 ここは標高1020m、福井岐阜の県境である。今日は根尾村のイベントがあるらしく、駐車スペースを確保するロープが張ってある。早めに着いて良かった。身支度を整えて出発。すぐに林の中の急坂になるが、朝の冷気で汗もかかずに快適に高度を稼ぐ。
 足元にはオオバユキザサが白い花を風に揺らしている。ひとしきり登ると段のような平地に出て、やれやれと思うととまた急登ということを何度か繰り返す。
峠から一時間ほど歩いたところで背後の展望が開ける。
残雪の白山の右に、薬師から笠、槍穂高と続く北アルプス、さらに乗鞍、御岳、中央アルプス、恵那山…と素晴らしい眺めだ。双眼鏡をお借りして自然の名画をじっくりと鑑賞する。
1492mピークからは笹原の中の道でぐっと楽になった。広い尾根上を緩く登って灌木帯に入るとマイズルソウがいっぱい咲いていて、サンカヨウやエンレイソウもほころび始めている。林を抜けると行く手に頂上へ続く尾根が見える。左手の岐阜県側が急勾配に切れ落ちている。沢に残雪があり、その上の緑の中に真っ赤なボノツツジが咲いていた。最後の登りもたいしたことなく、三角点のある頂上に着く(峠から約2時間)。熊笹に囲まれた狭い台地で、笹の上から北アなどが見える。荒島岳は白山の手前で、その左に銀杏峰と部子山が並んでいる。
しかし、右手に白山神社の祠があるピークがあり、ここよりも更に景色が良さそうだ。笹原の尾根道を南に行くと岐阜側能郷から登ってくる道と出合い、紅のアケボノツツジの向こうに、奥美濃の山並みが拡がって開豁な眺めだ。社の前からは昨日登った冠山が西の金草山の上に見えた。南には伊吹山や金糞岳を望み、鈴鹿の山並みも霞んでいる。素晴らしい展望に満足して下山する。(下り1時間20分)

 
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私の関西百山
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