スイス三大名峰の旅 (1)




Mont Blanc du Tkul(4248m)         Mont Blanc(4807m)          Dome du Gouter(4304m)


見渡す限り拡がる豊かな緑の野にのびやかに草を食む牛や羊の群れ、がっしりした石造の家並みの上にそびえ立つ教会の尖塔、そして紺碧の空の下に立ち並ぶ白銀の峰々‥‥‥。二人の長い長い夢が現実のものとなって、その夢よりも美しい光景に身も心も酔いしれた、すばらしいスイスの1週間だった。

1995年9月21日(木)
7時15分、チューリッヒ空港着。小雨が降っていて薄暗い。バスでアウトバーンをベルンヘ。出勤の車か、結構、交通量が多い。しかし、郊外に出ると車が減り、車窓の両側には青々とした緑の草原が拡がり、のんびりと牛の群れが草をはんでいて、ぽつんばつんと石造の家や教会が建っているのを見ると、だんだんスイスにきたことが実感されてくる。
9時15分。ベルンヘ着き、まずバラ公園へ。バラは時季はずれで、広い園内も寒々としていたが、俯瞰する市内の景色は緑が多く、煉瓦色の屋根が並び、青銅色の教会の塔が映えて落ち着いた感じがする。公園には榛原から贈られた桜も植わっているそうだ。一体にスイスは日本との友好関係が深く、都市間の姉妹関係や、記念品の交流も多く、また観光地や商店街でふだん自国で見られぬ日の丸をずいぶん見た。公園を出る頃、雨が上がった。
旧市内に入る。正面に時計塔を見て、両側にずらりと国旗や州旗の並ぶクラム通りを進む。道の真ん中にさまざまな人形の噴水が立っているのが珍しい。この近くにはそれぞれ特徴のある噴水が11基ある。 時計塔の前で下車して、見学。毎時の4分前になると機械仕掛けの人形や熊が動きだし、上部の人形がチャイムを叩く。実にいい音色が響き渡る。11時のを見、聞いて、そのあと自由行動になった。 時計塔裏のマルクト通りをしばらく散歩して、その後、大聖堂へ。
 正面入り口に精緻な「最後の審判」の彫刻があり、ドアを潜って尖塔展望台へ250段の階段を登る。途中、あと100段の所で、にこやかな笑顔で3SF徴収された。展望台から赤錆色の屋根瓦と緑の美しい町の展望を楽しんだ。

午後、モントルーを経て、シオン城見学。この城の原型はすでに紀元前からここにあって、現在の形になったのは13世紀。バイロンの詩で一躍有名になり、レマン湖に浮かぶ優雅な姿はスイス第一といわれる。地下の牢獄、会議室、領主の部屋、結婚式の行われる部屋など地下から3階まで28の部屋がある。

地下の牢獄として使われた部屋にはジュネーブ独立の志士・ボニヴァールが幽閉されていた。宴会場は天井の形が面白く今は武具などの展示場になっている。地下を除いた城内各所に美しい絵画が飾られ装飾が施されている。

ジュネーブ市内は国連ヨーロッパ支部、赤十字などをバスの窓から見ただけで、免税店に寄ったあと、宿のHエプソンヘ入る。レマン湖まで5分とのことだが、外は真っ暗なので夕食後、すぐ部屋に引っ込んだ。
*夕食の献立
サラダ、ビーフシチュー、ライス、大きなアイスクリーム、ワイン(ハーフボトル15SF)<1SF=\91>

9月22日(金)
 曇のち快晴。3時15分に目が覚めて、そのまま眠れない。サマータイムでもあり、緯度の高いこの町では7時にようやく明るくなる。薄暗いうちからレマン湖畔の公園の道を散歩し、湖を見ながら二人でラジオ体操。早朝ジョギングの人が多い。対岸に柱が林立しているのは有名な大噴水らしい。大きな栗の実がたくさん落ちていたので拾っていると、犬の散歩に来た老婦人に手真似で食べられないと教えられる。(後でマロニエと知る)。
バスでシヤモニに。今まで曇っていた空が、ロープウェイ駅に着くころから晴れ間が出てくる。ここはフランス領のため3千円だけ両替する。ロープウェイでエギィーユ・ミディへ登る。途中で一度乗り換えるが、標高差2700mを20分ほどで登り切り、しかもものすごい急勾配で、最後はまるで垂直のエレベータに乗っているような感じになる。

ピトン・セントラルへのエレベータの切符売場を捜してうろうろし、先に北峰の展望台へ出る。景色も早々に引き返し、エレベータに並ぶ。どうも最近、無料になった様子だ。

                                  Grandes Jorasses(4208m)
エレベータで中央峰テラスへ登る。快晴の空の下、純白のモンブランからグランドジョラスへ続く岩峰が並んでいる。遠くグラン・コンパンの右肩にマッターホルンが小さく見える。
眼下に初めて見る氷河・ジェアン。氷河の上を行く小型ロープウェイはエルブロンネに通じている。 左にはシャモニ針峰群。まさに360度の大展望に感激する。見下ろすとミディ駅とその遥か下にシャモこの町、雪稜を行く登山者の姿も小さく見える。    
シャモニの町に下って昼食。シーズンが終わって閉まっている店もあったが、まだ開いていた店で二人のフリースのジャケットを買う(日本円で1万円)。

バスでシヨン経由テッセヘ。途中、ワインの名産地(マルチィニー付近)でトイレ休憩のとき、棚の葡萄を取ってきて試食する。この辺りは、道端からずっと山の斜面の上まで葡萄畑。日本と違って棚は作らず、丈の低い木が整然と並んでいる。
ツェルマットは車が入れないため、一つ手前の駅・テッセから電車に乗る。テッセ駅前には乗用車がずらりと並ぶ大駐車場があって、上高地にいくための沢渡のようだ。 ツエルマットの駅前風景。ここでは電気自動車と馬車が幅を利かせている。
宿のHクリスチャニアは少し町の中心部から離れてはいるが、絶好のロケーションにあり、部屋の窓から正面にマッターホルンが大きく見える。
 ホテルのテラスで撮った写真だが、背景のホテルとほぼ同じ作りで、どこも美しいゼラニュウムの花で飾られている。美観とともに虫除けの効果もあるそうだ。
*夕食 スープ、サラダ、小さい鱒をロールしてクリームで煮たもの、ライス、アイスクリーム、ワイン  

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