小辺路(3.果無峠越)
   



【登 山 日】2006年4月23日(日)
【メンバー】日本山岳会関西支部 15名、会員外 5名、計20名
 
<コースタイム>
23日 果無08:50…山口茶屋跡09:25…観音堂10:00〜10:15…果無峠11:00〜11:20
…七色分岐12:55…八木尾バス停13:45



明け方にはあがるという予報だったが、朝食を終えてもまだ小雨が降り続いている。出発を予定より30分遅らせ、しかも果無集落の上までバスを上げて貰う。石畳の道を割愛したので不満な人もあったようだが、雨で滑り易くなっているのと下山後の温泉を含めた時間配分との兼ね合いで致し方ない。本宮参拝の希望もあったが、全員の希望を満たすことは到底できず、最大公約数的に満足して貰う他ない。 
登山口で雨具を付け、今日も最後尾で登り始める。この道の所々には西国三十三ヶ寺になぞらえた石造の観音像が佇んでおられ、今日は二十九番から登り始めて一番札所に向かうことになる。30分ほど登った山口茶屋跡に来ると、糠のような雨になったので雨具を脱ぐ。
傘を差したりすぼめたりしながら歩き、観音堂で休む。甘い水が豊かに流れおちていた。裏手の小高いところが二十番観音で、ここから再び急な登りになる。展望台からの景色は、いくつかの山の頭が雲の上に見えるだけだった。クロモジの黄色い花が雨滴で玉のように光っていた。
勾配が緩やかになり杉木立の中を行く。雨は上がったが霧が出てきて幻想的な風景になる。やがて登り着いた果無峠は標高1114m、汗が引くと少し肌寒さを感じた。
台座のない宝筺印塔と西国十七番観音像が霧の中に浮かんでいる。去年3月、果無山脈の長い歩きの末にここへ来た想い出が懐かしくよみがえる。JAC旗を中心に記念撮影をして、しばらく休憩する。
峠からは長い下り道が続く。観音像に彫られた文字は、峠を境に消えていることが多くなった。それでも摂津、山城、大和と次第に南下する寺の名に、かって車利用ではあったが二度にわたって巡拝したことを思い出す。シャクナゲの多いところを通るが、今年は裏の年か花芽は小さいようだ。薄日が観音様のお顔を照らすようになった。
雑木林の落ち葉を踏んで急な道を下るうちに、七色分岐にくる。傾斜が緩み、木の間から熊野川の流れを見下ろしながらいくと町の水道施設に出会う。民家の横を抜けると八木尾登山口で、迎えのバスが待っていた。小辺路はここから現在の国道168号線を九鬼へ、さらに三軒茶屋から再び古道を熊野本宮へと続いているが、私たちはすでに「中辺路」を歩いたおりに、三軒茶屋から本宮へは踏破済みである。長い国道の舗装路歩きを敬遠して、ここで打ち止めにする。
二日間で三浦、果無とを二つの峠を越したが、幸い大した雨にも遭わず無事に歩き通すことができた。また「紀伊山地参詣道シリーズ」全体としても、まだ大辺路や伊勢路などいくつかの課題は残るものの、この小辺路でほぼ大きな山は越えたように思う。十津川温泉「昴の郷」の温泉に浸るうちに、じわじわと満足感がこみ上げてくるようだった。


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