キナバル山の花

キナバル山はボルネオ島のマレーシア領サバ州にある。東南アジアの最高峰・ロウズ・ピーク(4,095m)を主峰として、特異な形状の花崗岩が並ぶ大きな山体が熱帯雨林の上に聳えている。熱帯雨林から高山帯まで珍しい動植物が豊富なことで知られ、特に植物は6000種という多様性を見せる。一帯はキナバル公園として世界遺産に登録されている。2005年と、2007年の二度訪れて登頂を果たしたが、写真は主に2005年に撮影したものである。出来る限り名前を調べたが分からないものが多く、現地のガイドにも訊ねたが名前を知らないことが多かった。



金色に輝く夕暮れのキナバル山を間近に眺める道路脇に屋台が並んでいる。



屋台横のバナナの花の蕾(2005.01.21)



登山口のティムポホン・ゲートゲート(標高1866m地点から幅広い階段道を少し下るとカールソン滝に出会う。
キナバル・バルサム(ホウセンカ)の花が水飛沫を受けている。(01.22)

歩き始めて30分で最初のシェルター(Pondoc Kandis)を通過する。ここからは、暗い林の中でひときわ鮮やかなオレンジ色や朱色のシャクナゲの花や、足元にひっそりと咲くランの花など珍しい植物が次々現れる。

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3km地点を過ぎると、大きな木性シダの群落などがあり、熱帯雨林らしい様相となる。
四つ目のシェルター、ラヤンラヤン(Layang-Layang)は標高2700m、今日の行程のほぼ半ばにある。ここで昼食を済ませる。午後は黄色い土の急な坂道で始まり、ところどころで食虫植物、ウツボカヅラ Mossy Pitcher-Plant を見る。

下左から4枚は大型のNepenthes Villosa、右端は少し小型のNepenthes-X-kinabaluensisという種。いずれもチョコレート色の、口に飾りを付けた花瓶型で、中に捕えた虫を溶かす樹液をたたえている。





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密林の中の植物は花だけでなく葉も美しいものが多い。(1)は金色に輝く葉 (2)(3)花かと見まごう葉
(4)ランの類 (5)木性ベゴニア 

岩場を少し登ると、視界が開け森林限界を越える。この辺りの植物は、シャクナゲ、南方松、ヒースシャクナゲなど、ここの強アルカリ性土壌に適したものだけという。
 特に目立つのは現地語でサヤッ・サヤッと呼ばれるレプトスパーマム(Leptospermum)で、Tea-Treeとも言われるようにチャの花に似た白い花を咲かせている。

 白い鋸歯状の山頂部が鮮やかに見えたのち、再び、サルオガゼを纏ったり、妙な形に捩れたりした樹が密生する林に入る。
 


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(6)キナバル・黄シャクナゲ (7)Rhododendron ericoides (ヒースシャクナゲ) 
(8)Leptospermum (サヤッ・サヤッ) (9)サヤッサヤッの実    (10)パピローサ・セロジネ



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(11)〜(13)名称不明  (14)ラズベリーの類、ガイドは食べられるというが… (15)Bolneo Eyebright

急坂を登り切ると木の丈が次第に低くなり、サヤッサヤッも這松状に変わる。(左の写真および下の写真・左端)
 最後の急坂を登りきると、タンポポやミヤマキンバイに似た黄色い花の咲く台地の上にラバン・ラタ・レストハウスが見えた。ここは標高3300m、穂高でいえば涸沢といったところだろうか、背後にはパナール・ラバン(Panar Laban)と呼ばれる大岩壁が迫っている。



翌日は午前3時前に行動開始。急な階段道からラバンラタの岩場を登り、サヤッ・サヤッ小屋(3668m)へ。周辺には名前通りサヤッ・サヤッが群生している。ここからは広大な灰色の花崗岩の大斜面、さらに急峻な岩場の登りとなり、途中で日の出を迎えて最高峰・ロウズピーク(4,095m)に立った。
 写真は下山時のもので、下に見えるピークはキナバルサウス(3921m)。こんな高所の岩場の陰にも健気に花が咲いていた。




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