14 養老山 (859m)




【ようろうやま】滝の名前は有名だが山の名は「コンサイス日本山名辞典」にも載っていない。ただし養老山地については「三重・岐阜県境。濃尾平野の西端を限る傾動地塊。 …最高峰は笙ヶ岳…」の記載がある。日本山岳会編「新日本山岳誌」には山の名が出ていて、「傾動地形」についても「この山は東側が急峻な断層崖であるのに対して、西側は比較的なだらかで…」と説明されている。私は山と渓谷社の「一等三角点の名山100」で興味を持って1993年に登った。
<孝子伝説の滝で有名な一等三角点の山>
秋晴れの休日、養老滝の上にある駐車場に車を置き、すぐ右の谷に下る。堰堤の下で谷を渡り、向かい側の斜面に取りつく。 灌木帯の中、かなり勾配のきついジグザグの登りだが、よく整備されていて道幅も広く歩きやすい。グングン高度を稼ぎ、尾根に出る。地図の標高550M地点で、ここからは緩い尾根道の快適な登り。丁字路で突き当たると、左へ1分で三方山(730m)に着く(上の写真は三方山からの養老山)
線刻の仏像と種字の小さい石柱が2本ある狭い山頂で、濃尾平野が眼下に拡がる。南西に小倉山から養老山に続く稜線、北には牧場への稜線とその左に笠ヶ岳も望める。
 元の丁字路を右へとり、さらに次の丁字路が笹原峠で、右は旧牧場へ60分の道標がある。
左ヘススキと笹の高原状の道を登り、最後に木の階段を登ると小倉山(841m)。「この眺めが皆さんを待っていました」と書かれた展望図では御岳や恵那山も見える筈だが、残念ながら木曾川も霞んでよく見えない。とりあえず目的の養老山へ急ぐ。緩やかな稜線を下り、登り返すと林道に出て、それに沿うように道は続く。
 三角点へは5分ほど歩いた所を右へ、ブッシュの中を漕ぐように登る。一等三角点(859m)と小さな標識があるが、展望はあまりよくない。ただ笙ヶ岳とその向こうの伊吹が望めた。
小倉山に帰って木陰で昼食。帰路は旧牧場への道を取る。小さなピークを3つ越えると下り一方。最初は木の階段でやや急だが、牧場跡からは緩やかな広い林道になる。1時間ほどの退屈な林道歩きで目の下に駐車場が見え、元の谷への分岐に帰り着く。 天候、展望とも申し分なく快適な山歩きだった。

<コースタイム>駐車場9:05…尾根に出る10:00…三方山10:25~45…小倉山11:15…養老山11:37…小倉山12:00-50(昼食)…旧牧場13:40…駐車場14:35(1993.10.10)
<付記>

 帰りに
養老の滝をを見に行った。古くから、万葉集に『古ゆ人の 言ひ来(け)る老人の 変若(を)つといふ水そ名に負う 滝の瀬 (大伴宿禰東人)』と歌われたように「若返りの水」で有名な滝だったが、「酒好きな父を養っていた孝行な樵が山中で酒の流れる滝を見つける(十訓抄)という話が加わり、 元正天皇が年号を「養老」に改めた(717年)…という滝。日本の滝百選、名水百選に選ばれているだけに大勢の人が汲んでいた。この時は「これが酒ならなあ」と思ったが、今なら「若返り」の方がありがたい。

私の関西百山
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