カナダの旅 (観光編)

カナディアン・ロッキー近くにホームステイしながら軽い山歩きを楽しもうという6人のメンバーに欠員ができ、思いがけず参加が決まってから10日あまり。慌ただしい準備のうちに出発の日を迎えました。
 関西国際空港に集まったのはYKさん、RSさん、KSさん、Tさん夫妻、私(Tさんと私の他は女性)。
皆さん奈良県で、カナダは6回目という元英語教員の加藤さんが頼りの中年6人組です。


1997年7月10日(金)晴
17時過ぎに関空を発ち、バンクーバーに着いたのが同じ日の朝10時過ぎ。頭で判っていてもどうも変な感じだ。
国内線に乗り換えてロッキー山脈を飛び越え、15時前、カルガリー空港着。
 ステイ先のアラン、ナネットのマーシャル夫妻ににこやに迎えられ、フォードの8人乗りRV車でお宅のあるロッキー・マウンティン・ハウス(地名)へ向かう。
 アランさんは地元の高校長を退職して3年目、姉妹町の北海道上川町と生徒の交換訪問を始めた人で、大の親日家である。アウトドアが大好きで、年も私が一歳上と近く、経歴も似ているのですぐ親しくなれた。
車窓から見るカナダの第一印象はとにかく「広い」の一語につきる。見渡す限りの緑の草原、そのなかの黄色く見えるのは菜種畑で、そのコントラストが美しい。
 所々で牛や馬が屯し、その中をどこまでも一直線に道が延びる。週末のため行き交う車に大きなキャンピングカーが多い。100キロを遥かに越すスピードで2時間走ってロッキー・マウンティン・ハウスに着く。
 かっては毛皮交易で栄えた町だが、今は人口6千人、農業、林業、そして石油と天然ガスが主な産業である。
さらに走ること20分、ようやくマーシャル邸に着く。標高1000mを超える美しい自然林の中にある瀬洒な一軒家で、セントバーナード犬「ミツ」が尻尾を振つて出迎えてくれた。

夕食まで散歩。アルバート州の州花・Wild Rose、ヤナギランに似たFireweedや、シャジンに似たHare Bellなどの咲く草原を5分ほど歩いてサスカチュワン川に出る。

ここまでずっとマーシャル家の敷地と聞いて驚く。窓の外にPine Siskin、Evening Gross Beakなどの小鳥が餌をついばみに来るのを眺めながら夕食。
 22時前でもまだ外は明るい。

7月11日(土)晴ときどき曇、夕方少し雨。

9時頃から近くの牧場へ
ホース・バック・ライディングに行く。はじめに、マイケルというカウボーイ姿の男から「腹を軽く蹴ると歩く、手綱で左右をコントロールする、強く手綱を引くとバックする」などの基本的な乗り方説明があり、「草を喰わさないこと、腹が減っているのでなく馬は君を試しているのだ」といわれた。
シンドバッドという名の馬の背中に揺られて、緩いアップダウンのある林の中を歩く。
 Wild rose、Fireweed(ヤナギランに似ている)、bunch berry(ゴゼンタチバナ・以下煩雑なので「似ている」は略、日本にないようなものは色だけを記すことにする)、Wood lily(山ユリ)などの咲く中を一列で進むが、高い視点から景色を見るのは実に爽快。
 木の枝が顔に当たりそうになったり、大きな石があれば避けるなど、すぐに思いどおりに歩かすことが出来た。
 初めて車を運転するよりはずっと簡単だ。あっという間に1時間ほどが過ぎて、まだまだ乗っていたい気分だった。
時差ボケ解消の昼寝をした後、アランさんの母親がおられる老人ホームを訪問、所内をくまなく見せて貰う。
快適な生活が送れるように隅々まで配慮が行き届いている。日本のお寒い福祉対策に比べて、安定した老後の生活が約束されたカナダの人を何ともうらやましく思った。


7月12日 シャンダ山ハイキング   

7月13日(月)晴一時小雨  
*これから5日間はマーシャル家を離れて、ジャスパー、バンフ間のアイス・フィールド・パークウェイ沿いのいわゆるカナディアン・ロッキーに向かいます。案内役のマーシャル夫妻も同行しますので、朝、娘のジュリアンさんが犬のミツを預かりに来ました。*
 7時、マーシャル夫妻、私たちの8人で出発。車はノース・サスカチュワン(インディアン語で急流の意)沿いにルート11を西へ。


ボールダー山を右手に見ていると、急にスピードが落ちて停車。何事かと思うと林の中へ茶色の子クマが悠々と姿を消していく所だった。しばらく走ると、今度は黒いクマの後ろ姿を見る。昨日、山頂付近から見たエイブラハム湖の横を通る。時速120キロで飛ばしているのに、10分以上湖畔を走っている。やがてサスカチュワン川との合流点、クロッシングに着く。ゲートがあり、付近にはワタスゲに似た花がいっぱい咲いていた。ウイルソン山を背にしたレストハウスで休憩。
 ここでやや詳しい地図(といっても40万図)を買う。なにしろバンフ・ジャスパー間だけでこの大きな地図ほぼいっぱいなのだ。
 昨日登った山はマイナーなのか山名すらない(ただし付近の地形と地名で場所の確認はできる)。鳥瞰図風色刷りでなかなか美しい。
 ところどころ氷河の部分が白ネズミ色に塗られている。
小糠雨が降り出して気温が急に下がって来る中、観光コースでお馴染みのコロンビア大氷原へ行く。

マーシャル夫妻と、前に来たことのあるKさんはレストハウスに残り、5人でバスに乗る。

日本人はわれわれだけ。説明は早口の英語なので殆ど分からない。

雪上車との乗り換え地点へ行く途中で雨が上がり、見事な虹が下の方!に見えた。
325平方キロもある大氷原からいくつも流れ出す氷河の一つ、青白く輝くアサバスカ氷河を雪上車で登り、氷河の上に降り立っ。

さすが観光名所だけに、いろんな国の人のカラフルな防寒着が白い氷河の上に散らばっている。
青空が拡がってきてサングラスをしていても眩しい。
スプルースの森に囲まれた静かなキャンプ場でランチの後、アサバスカ滝を見に行く。

豪快に水飛沫を上げる滝の下流へ歩き、アサバスカ川の急流下りに挑戦。


年寄りだから漕がなくてもいいフローティングかと思っていたら、アレンジされていたのはグレードUのホワイト・ラフティングだった。(もっとも帰ってから息子に自慢すると、グレードはYまであり、彼は別の川でこの最高難度を経験したそうだ。何度も川に投げ出されたという。)
 ウェットスーツの上に救命具を付けて川辺で練習した後、いよいよ6人でゴムボートに乗り込む。
私とTさんは一番前だ。すぐに泡立つ激流が迫る。ガイドが船尾で何とかしてくれるとは思うものの、みな必死でパドルをふるう。
 大きな波に突っ込んで頭から水を被り、たらふく飲んだ。流れが静かになるとゆっくり漕いだり、自然に流されたり、 周りの美しい景色を眺める余裕も出てくる。エディス・キヤベルの峰が見事だ。 と、また瀬がせまり懸命に漕ぐ。こんな繰り返しで、練習込みの2時間があっという間に過ぎた。
 ジャスパーのツーリスト・ホーム(二階が住居で一階を旅行者に貸している)に行って泊まる。清潔で快適なベッド(ダブル)で夢も見ず熟睡した。

7月14日(火)快晴
早朝、ジャスパーの町を散歩する。南西にウイスラー山(2464m)、南に万年雪と黒lい岩壁の
マウント・エディス・キヤベル(3363m)、北にビラミッド山(2762m)が紺碧の空に聳えている。
 朝食後、アイスパーク・ウェイを再び南へ035キロほど走るとミネラル・リック・ビューポイントに着く。
ここからはサスカチュワン川を挟んで、すぐ目の前に白亜のロッキーの山々を仰ぐことが出来る。
午前中は パーカースリッジ・トレッキング (トレッキング編) 
遅めの昼食は湖の色を七色に変えるというペイト・レイクの畔で摂った。

地リスやclark's nutcrackerという嘴の鋭い鳥が餌をねだりに来る。今夜の泊まり、フィールドへ行く車中から白いマウンティン・ゴートを見る。
いったんツーリストホームへ荷物を下ろし、シャトー・レイク・ルイーズへ夕食に行く。

レイク・ルイーズは正面にビクトリア(3464m)を仰ぐ有名な観光地で、綺麗ではあるが絵葉書的で、感動は山から見る山には遥か及ばない。ホームに帰る頃日が暮れ、早や22時前。

7月15日(水)曇りのち雨
フィールドは、レイク・ルイーズ周辺の登山ハイキング拠点で重要な町で、大陸を横断する列車の沿線にある。ここを通過する貨物列車は時には200両に及ぶ編成で、この朝も延々と続く100両を越す貨車を、3台の機関車が曳いて通っていった。
 ツーリストホームの窓の外に小鳥の水飲み容器があり、ここにハミングバードがやってきた。この鳥は遙かカリフォルニアからの渡り鳥という。

今日から一泊でスコーキー・トレイルのトレッキング。

7月16日(木)
スコーキーのトレッキングの後、バンフへ行ってアッパー・ホット・スプリングスに浸かる。温泉と言うより泳げない温水プールの趣だ。
 マーシャル夫妻、Kさんに待って貰って、5人でゴンドラに乗りサルファー・マウンティンに登る。
 夕方になって見事に晴れ上がり素晴らしい展望を得た。展望台からはスキーで有名なNorqay、Brewstar、Cascadeなどの山々、大きなダムのあるminewanka湖などを背後にして、バンフの町が箱庭のように見えた。
夕暮れのバンフの街を散歩した後、一日遅れだがナネットのお誕生日と、アランへの感謝を兼ねて6人で日本料理店へ招待。

親日家だけに日本料理が大好きで、箸の使い方は私よりも上手だ。たいへん喜んでくれた。
 フィールドへ帰って一昨日と同じ部屋で寝た。

7月17日(金)晴れ オハラ湖周辺トレッキング  

 7月18日(土) 晴れ
昨日、ジャスパー、バンフ、ヨーホー各国立公園5日間のハイキングを終え、例の炭坑の町ノルデッグでアルバータ・ビーフ・ステーキの夕食を済ませて、ロッキー・マウンティン・ハウスのマーシャル邸に帰った。
 今日は洗濯、COOPへ買い物。昼寝。夕方、雷鳴の後に大粒の雹が降る。ミツが怯えて上に上がってきて、ナネットさんに「この恐がりの臆病ネコめ」と叱られていた。
7月19日(日) 晴、今日も一時夕立あり。

から14キロ離れたクリムゾン・レイクの周囲10キロを巡るハイキング。ゆっくりと3時間かけて、樹木や草花の名前を教わりながら歩く。Wild Berry などイチゴの仲間が多く、なかでもwild Straowberry は苺の原種で小粒だが非常に甘い。

夕方、
歴史公園で毛皮交易や原住民の生活や歴史を展示と映画で学ぶ。夜、マーシャル邸でのお別れパーティ。
7月20日(月) 晴。
10日間もお世話になったマーシャル夫妻と、再会を約してカルガリー空港で別れ、バンクーバーへ。

スタンレー・パークの散歩。ここも一周10キロあるが、3分の一ほど歩く。バラード入江で釣りをしているフィリピン人に何が釣れるか聞くと、FlatFishという。まさかと思ってバケツを覗くと大きヒラメが何匹も。見ているうちに大きなヤツを釣り上げた。 
平地へ降りるとさすがに暑くなったが、乾燥しているので日陰では涼しい。

バスでチャイナタウンへ行き夕食。ギャス・タウンを散歩してこの町初の入植者、ギャシー・ジャックの像や
蒸気時計を見る。
7月21日(火) 快晴。

フェリーでヴィクトリアへ渡る。湾越しに真っ白なペイカー山が見えた。

バスの窓から美しい英国風家屋を見て、ブッチャーズ・ガーデン見学。かつての石灰岩採掘の跡にブッチャー夫人が花を植えたのが始まりという広大な花園である。

中心街を離れた静かなホテルで泊まる。
7月22日(水) 快晴。
ワックス・ミュージアムとBC州立博物館を見て、昼のバスでバンクーバーへ帰る。
 T夫妻とサイエンス・ワールドでアイマックス映画「エベレスト」を見る。96年国際隊の映画だが、凄まじい臨場感だった。
スカイトレインで中心街ロブソンに出て、買い物、夕食。
7月23日(木)12:30の飛行機でバンクーバー発。長いような短いようなカナダの旅が終わる。

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